栃木県那須町の那須街道付近で敷地面積13,000平米内にある宿泊施設15棟と管理棟・カート棟からなるリゾートホテル（グランピング施設）。一級河川の湯川と那須用水に面したエリアで、古くから自生している赤松と広葉樹に囲まれた自然豊な環境である。敷地の一部が自然公園区域で開発申請も必要であった為、計画するにあたり環境負荷の低減が最大のテーマとなった。既存樹木の伐採を極力行わないように建物を配置し、既存の地盤形状に沿った基礎とすることで造成工事を最小限に抑えた。また、ゲスト同士のプライバシーや周囲の山々の眺望を考慮して、開口部位置やフロアレベル（FL）を入念に設定した。

通常の建て方で使用する大型重機では既存樹木に干渉するため、足場だけで建て方が可能で、リゾートに相応しい大らかな空間が確保できる工法として客室棟（キャビン）は「木造ドーム」を採用した。8mドーム＜9棟4タイプ＞は15角形の多面体、10mドーム（2階建）＜2棟2タイプ＞は20角形多面体で構成されており（他6mドームテント4棟有）、BBQステーションや露天風呂を配置したデッキテラスとの組みあせで15棟全てタイプが異なっている。構造材は3次元の製材機で加工した120角L1600以下の杉材により構成されており、現場では角度に合わせて木を組み上げるだけで、大工一人での施工が可能となった。この工法は重機等でアプローチしずらい山間部や極小敷地での施工に展開可能である。

内部に金物が一切見えない綺麗な仕口、ドームを構成する現しの木フレーム、トップライトを配した5m超の高天井などの要素が大自然の中のシャルターとしてゲストを包み込み、心身ともにリラックスするための”脱日常空間”を演出している。また、キャビンには薪ストーブが設置されており、冬季も楽しめる仕様になっている。積雪時のキャビンは内部の暖かな照明や薪ストーブのゆらめく炎によりy「かまくら」の様な表情をみせる。

四季折々の表情が自然と調和し、新緑に浮かぶ白いドームや「かまくら」の光景が、文字り“WHITE  LAMP“となり、ゲストの心に触れる特別な瞬間を作り出す。ここで過ごすひとときは、内なる思考にふける大切な機会となり、ゲスト自身の明かりを灯すきっかけとなる。